文脈を読むということ~読解力を上げるポイント~

 

みなさんこんにちは!

 

先日TOEICが終わり、いよいよ期末テストの時期に入ってまいりました。

 

いくら期末時期だからとはいえ、読解力向上のため、教養を深めるため、自分の心の成長のため、読書だけは続けています。

 

そこで、1つできるようになったことがありまして。何かと言うと、文脈を読み込むことで、難しい文が読めるようになったんです。

 


もう、当たり前のことなのですが、文を読むには、文脈を読むことが大切だと改めて思い知りましたね。

 


また、今回、文を読むとはどういうことなのかという、仕組みにも気づいたので、今回はその仕組みをお話ししたいなーと思います。

 

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仕組み、言い換えると無意識に行われている思考過程、ですね。


例えば、こんな文があったとします。

 

「彼氏に髪型に文句言われた事ないのですが、こんな風にしてほしいって言われたら帰るかもしれません。 でもとやかく言われたくないというのが本音です。」

 

多分この文は単純で、多くの人は「帰る」が「変える」の変換ミスとわかったかとおもいます。流石のセンター国語86点(200点満点…)の僕でも、1.2秒でわかりました。

 

ここでは、なぜこんな風に解釈を補正できるのか、その仕組みを説明したいと思います。

 

まあ、言われたら当たり前だなーと思う内容です。でも、それは無意識にやっているからです。この仕組みを理解して、意識的に再現できるようになると、いざ難しい文章になったときや言語が変わったときに、ちゃんと理解できるようになります。読解で詰まることが少なくなり、スピードアップにもつながります。

 

では、仕組みの説明を始めます。

 

この文を頭から見て行きます。

 

「髪型に文句言われた事ないのですが、こんな風にしてほしいって言われたら帰るかもしれません。」


この時点での解釈は、彼女さんは怒ってしまったんだ、不愉快になってお帰りになってしまったんだ、と読み取れます。

 

ですが、その後に、

 

「でもとやかく言われたくないというのが本音です。」

 

という文を読んだ時、ん?と違和感を感じると思います。

「でも」、という逆説の接続詞がある。なのに、二つの文の言いたいことは不愉快という共通の内容です。


そこで、大事になってくるのが、言葉の優先順位です。

 

日本語だろうと英語だろうと、文章において単語そのものだけでは意味は確定しません。いろんな意味、ニュアンスがあります。

 

単語の意味の不確定性を狭めていく、つまりニュアンスを絞る、ためには文脈が必要なんです。

 

文脈が大事なんです。

 

さて、先ほどの文をとらえなおしていきます。


「彼氏に髪型に文句言われた事ないのですが、こんな風にしてほしいって言われたら帰るかもしれません。 でもとやかく言われたくないというのが本音です。」


さっきの文です。まず、なんかおかしいって思いますよね。

 

そして、何がおかしいかって考えたとき、逆説で繋がってるはずの、内容が逆説になっていない、と思うはずです。

 

(ちなみに、「でも」という単語は単語ではあるのですが、もうほとんど意味は決まっています。このように文のつなぎことば、ディスコースマーカーの単語は例外で、文脈にかかわらず逆説という意味です。そもそも文脈を織りなすのは「でも」のような接続詞です。接続詞にニュアンスの振れ幅はないです。ある文脈では「因果関係」をあらわし、ある文脈では「例を挙げる」ことを示したり、という接続詞は見たことないでしょう。なので、この単語の意味、役割をもとに読んで大丈夫です。)

 

少し話が脱線しました。戻ります。おかしいことに気が付いたら、次にどうならば良いのかを考えます。逆説で繋がってるんだから、逆の内容じゃなくてはいけない、と思えるはずです。


最後に、じゃ、どうすればそうなるかと考えますと、単語の解釈を変えることなんです。


単語はそれだけでは決まらない、つまり色んな意味がある。ということは、その文に適切な意味ではなく、間違った別の意味でとってしまいうるということです。なので、それを疑って解釈のし直しをすべきなのです。

 


まず、でも、という接続詞、これは疑う余地がないでしょう。でもの前後は逆説、これはもう解釈の差はないんです。

 

ということでそれ以外。

 

今回、どちらもマイナスな意味になっています。このどちらかをポジティブな内容に解釈し直さなくていけません。

 

そこで、仮に後者がネガティブで合っているとすると、前の方はポジティブじゃなくてはいけません。

 

なので、前半の文の言いたいことは、「彼氏から髪型について、とやかく言われても良い(「でも」以降の文の反対の意味)」というニュアンスに違いありません。


今回、ワガママな彼氏さんが彼女さんに髪型を変えて欲しい、というのが話題ですが、そう考えると、気づくはずです。

 

あ、「言われたら帰る」、じゃなくて「言われたら変える」ね。と。

変換ミスだと気づけるはずです。

 

このように接続詞を中心に作られる文の流れから、各単語、各文の解釈を決定していくのです。


まあ、多分この文をこんな面倒な思考回路を経て正しい解釈に行き着いた人はいないと思います笑

 

多分、無意識です。特に本をたくさん読んできた方はそうだと思います。

 

ただ、お伝えしたいのが、この無意識の読解力を、理解しておくことで、確実に、わかる文章は増えるはずです。

 

実際に、今読んでいる本で、同じような体験をした一節も例としてあげたいと思います。(さっきの例よりかなり堅苦しくなります。お許しを)

 

(大学生が研究などでどのように情報収集すべきか、オリジナルな情報とは何かっていう話題です。情報には一次情報と二次情報とがある。二次情報とは、人の手によって一旦加工された情報のことをさす。ということが書かれた後に続く文章です。)

 

しかし、図書館やウェブの世界ばかりがデータの収集の場ではありません。図書館の外、オフラインのフィールドには、膨大な経験という領域が広がっています。その経験の現場から、自分の手で得てきた情報を一次情報と言います。…

 

「情報生産者になる」 上野千鶴子 より抜粋
(国語弱者の僕にとっては、この本が難しすぎて、読んでいて心が折れそうでした。)

 

 

さて、この一節でいう、「経験」、という単語を正しく解釈してみたいと思います。

 

まず、文と文の間には先ほどの「でも」といった逆説の言葉はありません。

 

これもまた文章のルールなのですが、文と文の間にとくにつなぎ言葉(そして、や例えば、なぜなら、しかし、などの接続語)がなければ、原則としてその文と文は同じ内容です。つまり言い換えや繰り返し、補足といった感じですね。

 

これも文脈を読むために必要なツールなので覚えていただきたいです。

 

さて、この原則に則ると、うえの文章の三つの文は全部同じ方向のことを言っているはずです。

 

また、上から読んでいきます。

 


しかし、図書館やウェブの世界ばかりがデータの収集の場ではありません。

 

 

図書館の外、オフラインのフィールドには、膨大な経験という領域が広がっています。

いっている内容は同じなのですから、図書館、ウェブの2つと経験が対比されていることがわかります。

 

図書館、ウェブをマイナスとして、ではないという否定語もマイナスと考えると、掛け合わせてプラスですね。次の文は前文と同じ符号(言いたいことの方向が同じ)ですから、経験もプラスです。よって図書館、ウェブと経験は反対符号の関係にあります。

 

文と文が同じ符号なだけで、単語と単語は対比されていることには注意してください。ここは考えて、意味を整理していく必要があります。

 


とりあえず、本とかネットじゃなくて、経験というものから収集しろっていう主張です。

 

 

さて、ここからが本題です。


僕は、この経験、という言葉が、てっきり教授とかのプロフェッショナルな経験を表すのかと思ってました。膨大ともありますから、そう思ってしまったのかもしれないです。

ですが、次の文を読んでみます


その経験の現場から、自分の手で得てきた情報を一次情報と言います。…


この文には符号を反転させるような否定語や逆説はない。ということはこの文と前文は同じ。

 

同じということは前文の内容の補足説明、具体例、言い換え、など、主張の肉付けがされているんです。

 


この文を読むとき、前文にうっすら重ねるイメージで読み込んでみると、

経験ってのが、教授の莫大な経験、っていうニュアンスではなくて、

自分で色々やって経験したこと、をさすんだということがわかりました。

こうすると、二次情報が他人の手を通ってできた情報であるならば、一次情報は自分の手だけの、オリジナルな情報ということで、筋が通ります。

 

逆に、経験という言葉が、教授などの豊富な経験、のことを表すとするならば、その情報は自分のオリジナルではなく、教授のもの、つまり、二次情報ということになります。これは次の文の内容と矛盾するため、この解釈は不適です。

 

よって経験は、自分の実体験、もしくはこれから自分が経験すること、という意味だとわかります。

 

もちろん、もっと前、全体の文脈、説明もあったのもあってこう解釈できる部分もあります。ですが、文と文のつながりを意識することで、堅苦しい文章もしっかりかみ砕いていくことができます。

 


いかがでしたでしょうか。


読みにくいなぁ、とおもった文章があったら、ぜひ文と文のつながり、つまり文脈を読むこと、参考にしてみてください!

 

ではまた!

 

p.s.英語の方が国語より得意?

 

とくに日本人の方は、日本語を母国語として使っていますから、大なり小なり、語彙はあると思うんです。ですが、その語彙は完璧ではないはずです。(広辞苑にのってる言葉、全部暗唱できますか?)


その中途半端な語彙が返って読解を邪魔することになることがあるのです。


現代文より英語の方が得意、という方を何度もお目にかけましたし、僕自身その部類だったのですが、その原因は、英単語は知らない言葉、あまり馴染みがない言葉だからこそ、一つ一つの単語のイメージが薄いため、文脈を読むことでスムーズに文章が読めたんです。それか国語になると、中途半端な語彙があるが故に、途端に文脈を読み込むことを軽視してしまうんです。中途半端な語彙が邪魔をして、読みづらくなってしまうんです。

英語得意な人はきっと文脈を読むことを実践しているはずです。英語が得意な人は、英語やっているような読み方を日本語でも実践すればいいんです。言語は違えど、活きるはずです。

 

英語が得意でない方も、意識してみてください。日本語も英語も読めるようになるはずです。